Treasure


 あゆか 様より 


※こちらの作品の著作権は、あゆか様 が有していらっしゃいます。
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【犬夜叉 〜朔の日〜】(「濃染月」より)  

  《あゆか様のコメント》

朔です。何の工夫もない構図ですが・・・;;、
とにかく朔の日までに、ぜひIkuさんちで描きたいっと思っていまして・・・。
あらためて、おエビの難しさに・・・終了。
朔の日の犬夜叉は、もっと余裕ない表情かもしれませんね。


                        〜オエビコメントより転載〜


  《管理人Ikuのコメント》

素敵な朔っちですわ〜。><
いつも思うんですけど、私はあゆかさんの描かれる犬君の瞳が好きなんですよ。
透明感があって、吸い込まれるような気がします。
背景を含めた「ある場面」を彷彿とさせられるような作品も素敵なんですけど、
アップの”表情”に込められているだろう、その心情が溢れている作品も好きです。
一方で、りべんじのような、何気ないざっくりとした作品も好きです。^m^

私があゆかさんの描かれた【絵】が好きなのは、
全ての作品の底辺にある、あゆかさんのその時々の、表現したい【もの(心)】
があるという点にだと思います。^^

今回の星空朔犬君は、柔らかな、頬を撫でるよな、ふわっと吹き抜けていく夜風に、
髪をなびかせるというか、遊ばせている感じですわね。
夜もかなり更けて、空気が澄んできた星降る夜に、
目を瞑ったまま胸いっぱいに空気を吸い込んで、
顔を上げて、目を見開いた時、遠くの星まで見渡すかのような、
星空に抱かれたような安らかさを感じますわ。
確かに、そんな余裕な心持ちで、犬君が空を見上げることって、あるんかいな?
とも、思いはするんですけど・・・、
いつか、こんな穏やかな顔した犬君が見たいな〜という気持ちがしてくる作品です。
あゆかさんが仰るように、まだまだ、こんな余裕な表情を見せてくれませんよね。^^

そして、私は星空が好き!(いや、マジでかなりの星空マニアです。(^_^;A
星空描くのも、夜の森を描くのも好きだったりする。
こちらの作品も、左下の方に、何気な〜くシルエットの木々が描き込まれていて、
とっても美味しい作品ですわ。
森の中の、フィットンチット溢れる美味しい夜気を感じます。
でも、オエビで星空描くのって、本当に難しいですよね。
本当に、素晴らしい朔の犬君をありがとうございました。

しかし、とんでもないSSに成り果てちゃったわ。
先に、お詫びした方がいいかもしれません。
あゆかさん、御免なさい。m(__)m
・・・だって、犬君のSSじゃあ、ないんだもの・・・。(←蹴!)

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  『春の夜の夢』


    静かな静かな春の宵

    何処までも澄み切った星の海

    満天に星が瞬(またた)く春の宵





それは、寒さの和らいだある晩のこと。
いつもなら、頭上に拡がるその第一の枝に己の場所を求めるだろう
心許す老巫女の住む小屋の傍らにある”あの”木に背を預けて、
少年は星が煌く空を見上げていた。




「犬夜叉。
 朔の晩に、おまえが空を眺めているとは珍しいではないか。
 そもそも、こんな所に居る事自体、珍しいではないか。
 最近のおぬしは、朔の晩といえば、
 決まって、かごめの国で過していたではないかね。
 おぬしら、喧嘩でもしたのかね?
 ・・・・・・
 うん?その顔では、そうとも思えんが。一体、如何したんだね。」

少年に声を掛けたのは、小屋の住人である老巫女。
いつになく、穏やかな顔をした少年を不思議な面持ちで見つめる。
かつての朔の晩の少年は、
闇に目を凝らし、渡る風に揺れる葉擦れに耳を澄まし、効かぬ鼻に苛立って、
己の守護の役目だけを残した分身を抱かえ、丸くなって過すのが常であった。

それが、腰にその分身を携えてはいたが、胸元で腕を組み、
口の端(は)に、微かな笑みを浮かべて佇んでいるのである。

少年の常を知っている者であれば、その姿は普通ではない。


「かごめは、大事な”しけん”とやらが近いんだと。
 俺が居ると、どうにも気が散るようだったから、こっちに戻ってきた。
 それだけさ。」

少年は、老巫女を見やると、いとも簡単に言い放つ。
その瞳には、暖かな想いが溢れ、己を己と認める光が宿っている。
老巫女は、その瞳の奥に安らぎを見い出し、少年の『今』を嬉しげに見つめる。

「楓ばばあ!
 笑いながら、何、見てやがる。///
 おめえ、何か俺に言いてえのか?
 ええっ?」

少年が、いつもと異なり、あまりにも悟って見え、
その一方で、あまりにもいつも通りに間抜けな物言いをするので、
思わず老巫女は吹き出してしまう。

「いや、悪かった、悪かった。
 お前が、やけに利口に見えてな。
 思わず犬夜叉ではないのではないかと、思ってしもうた。
 何やら、おまえが悟りを開いたのかと、思ってしまったのだよ。
 やはり、思い過ごしだったようだな。」

「けっ。俺が悟りを開くだと?
 楓ばばあ、何寝ぼけてやがるんだ。
 俺は、そんな抹香くせい話は、でえっ嫌えだ。
 それに、そんな言葉を垂れる奴は、弥勒だけでたくさんでぃ。
 そもそも、おめえがいうなら、”神妙な”だろうが!」

誉められたような、けなされたような、その言葉への照れ隠しに、
少年が老巫女に返す言葉と突っかかる態度は、【常】の姿を象(かたど)る時のもの。
それは、月に一度のその晩に見せる【狭間】の姿に宿るものではない。
老巫女は、その変わり様に目を細めて微笑む。
時の向こうより遣(つか)わされし少女によって、
心に種を蒔かれ、心を耕し、心に蕾を宿した少年が愛しい。
それに気付かぬ相変らずな少年が愛しい。






  長きに渡って、見つめて来た少年が居た。
  いつの間にやら年を追い越し、それでも見つめてきた少年が居た。

  眠り続ける少年を見守ってきた。
  時の向こうより遣(つか)わされし少女によって、
  永遠の眠りから目覚めた少年を、ずうと見守ってきた。

今、その少年は、己の心を抱きしめて、静かに朔夜の闇に立っている。
老巫女にとって、それは嬉しくもあり、寂しくもあり、切なくもあり。



「おまえ、今、【朔】が恐くはないのだろう?」

「えっ?」

「恐れるでなく、怯えるでなく、立ち向かうでなく、
 ただ静かにそこに【在る】のだろう?
 半妖の力などなくとも、静かにそこに【在る】のだろう?
 それが、おまえにとっての『悟り』なのではないのかね?
 力があろうが、なかろうが、おまえはおまえだ。
 違うかね?
 分からなければ、お前はやはり『阿呆』と言うことだ。
 自分の胸に聴いてごらん。
 朝までには、まだ時がある。
 犬夜叉、ゆっくりと考えてみろ。」

「・・・・・・。」





老巫女が立ち去った後も、少年は一人いつまでも佇んでいた。


夜風に黒絹を躍らせて、
夜霧に黒絹を煌かせ、
黒曜石の瞳に炭火の温もりを宿し、
口の端(は)に、零れる笑みをのせて、
少年は空を振り仰ぐ。

「そんなこと、俺に分かるかよう・・・。」



春の夜には星が煌く。
吹き抜けていく夜風に大気が揺れて、星が煌く。



    静かな静かな春の宵

    何処までも澄み切った星の海

    満天に星が瞬(またた)く春の宵





  長きに渡って、見つめて来た少年が居た。
  いつの間にやら年を追い越し、それでも見つめてきた少年が居た。

  眠り続ける少年を見守ってきた。
  時の向こうより遣(つか)わされし少女によって、
  永遠の眠りから目覚めた少年を、ずうと見守ってきた。

今、その少年は、己の心を抱きしめて、静かに朔夜の闇に立っている。
老巫女にとって、それは嬉しくもあり、切なくもあり、寂しくもあり。








それは、春の朔夜に老巫女が見た、美しい夢。 

いつかと望んだ、美しくも切ない夢。 






− 了 ー     



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(初書き2005.01.13/改訂2005.02.16) 


確か、犬夜叉で書き始めたっていうんじゃな〜い?
犬君のモノローグのはずだったというんじゃな〜い?
書いてるうちに、楓ばあちゃんのモノローグになってしまったわね。
う〜〜〜ん、不思議。(←蹴)

ここのサイトの、犬かご推奨は遠い昔。
今や、冗談抜きに、爺婆込みのオールキャラ取り扱いサイトと成り果てました。

残念!!!


あゆかさん、”麗しい朔犬君”のSSが、何故か、こんなものに成り果てました。
お許しください。m(__)m


それでも、あゆかさ〜ん、麗しいで犬君をありがとうございました。vvv






初  掲  載   :2005年01月09日 当サイトオエビにて

当サイト初掲載:2005年02月17日







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