《あゆか様のコメント》

また、お絵かきさせていただきました。
ちょっとシリアスに。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〜オエビコメントより転載〜


　　《管理人Ikuのコメント》

あゆかさん、素敵な朔犬かごをありがとうございます。
本当に、生唾物の犬かごですわ。＾ｍ＾

犬君の緊迫した表情。
そして、非力なれど、絶対に守ってみせるという気迫がオーラのように漂ってます。
真っ直ぐ前を見据える瞳に、
引き締まった口許に。（←ここっ！犬の下唇に萌え！）
そして、かごちゃんをぐっと、自分の胸に引き寄せるその腕、その指に！
（おうっｖ）
かごちゃんの不安に揺れる眼差しと、犬君と居れば大丈夫という溢れる信頼感。
甘いイラストも好きですが、こんな緊迫した空気が感じられる作品も大好きです。
そして、あゆかさんの作品って、髪の艶やかな照りが本当に素敵ですわ。
（私は、髪フェチ♪）
背景の渋い冬枯れな空気漂う色遣いの緑もいいですわね。
結構、塗り込んでありますでしょ？
丁寧な作品に乾杯です〜〜！！
ではでは、またもや、駄足文でもｖ


**********************************************************

　『矜持（きょうじ）』

夕日が西の地平に沈む。
山の端より、その日最期の残光が一瞬煌く。
東よりの闇が一気に迫り、西の茜を瞬く間に飲み込んでいく。

ひとつ、ふたつ。
数える間もなく、空は満天の星空へと移り変わる。
11月も終わりとなると、日没と同時に急速に気温が下がる。
山中での戦いの最中（さなか）、仲間とはぐれ二人きりの夜となる。
いつもなら、ここまでの緊張感は走らない。

　　今宵は、『朔』
　　月に一度の特別な夜。



　星明りに揺れる絹糸は漆黒で、
　闇に溶け込む瞳は薄墨色。


「あ〜〜あっ、日が落ちちゃったわね。
　とうとう、日暮れまでに皆と落ち合えなかったわ。
　犬夜叉、今夜は”朔”よ。
　･･･どうする？」

不安を押し隠し、かごめは弓を握り締める。
いざとなったら、自分が犬夜叉を守るのだと、決意だけは胸に強い。

「そうだな。
　むやみに歩くのは危険だよな。
　ここは、どこか朝まで過ごせる場所を探そうぜ。」

自分のこと、かごめのこと、
随分と冷静に物事を考えられるようになったものだと犬夜叉は思う。

　　　自分ひとりなら、如何とでもなる。
　　　生きるも死ぬも、それも運命。
　　　かつては、そんな投げやりな命で生きてきた。

　　　守りたい命がある。
　　　守りたい笑顔がある。
　　　今、その持ち主は、自分にも生きろと真直ぐな目で訴える。

夜のねぐらを探す内、視界の端に灯火が映る。
疑う事を知らぬかごめは、犬夜叉が止める間もなく一歩踏み出す。

ぱきりっ。

「誰だ！」
己の仲間とは違う男の誰何（すいか）する声。

（しまった！）
心の内で舌打ちしつつ、犬夜叉は辺りをすかさず見回した。
大切な少女を懐深く抱かえ込む。
怯えなどはない。挑発もない。
真直ぐに頭（こうべ）をあげて、相手を見据える。

「誰だ。おぬしらは何者だ。
　こんな夜に、山中に居（お）るには、似つかわしくない奴らめ。
　間者か？・・・それとも、駆け落ち者共か？」

「駆け落ちぃ？///」
思わず、かごめの頬が赤らんでくる。

「どちらでもない。
俺たちは、仲間と、とある輩（やから）を追っている。
その最中に、はぐれただけだ。
だが、この娘に手出しをするなら、容赦はしない。」
落ち着いた声が、頭上で朗々と放たれた。
かごめの肩を抱く指に、力が篭もる。

落ち着いた声。怯み（ひるみ）ない声。
犬夜叉の腕の中は、かごめに安心をもたらす。

　　爪もなく、牙もなく、鋼（はがね）の身体（からだ）も、何もない。
　　帯びた刀に妖（あやし）の力も何もない。
　　あるのは、熱い想いと強い意志、その気迫。





「どこぞの若様か知らんが、おまえ、いい目をしておるな。
我らは、この山の向こうの国の舎人（とねり）。
抜け道を辿る者どもを取り調べておるところだ。
おまえの目に曇りはない。
本当の所は、･･･胸に収めて見逃してやる。
ところで、どうだ。今夜一晩、我らと共にあるか？
そっちの娘は、この山中では大変だろう？」

思いがけず誘われる。

人として、男としての矜持を試される。
犬夜叉の口許に、思わず安堵が漂う。
「夜明け前には、この場を離れる。それでもいいか？」


　　この時代、夜盗に類する輩も多くある。
　　この時代、矜持溢れる漢（おとこ）も、あまたある。

　　漢は、瞳の奥に秘められし漢を見い出す。


「ああ、かまわんさ。
　俺は、蜂須賀 正勝（はちすか　まさかつ）だ。
　おぬし、名は何と言う？」
「俺は、犬夜叉！」

互いが己に誇りを持って、名乗りを上げた。





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　−　了　−




**********************************************************
　　　　　　　　　　　　　　 　(初書き　2004.11.22/改訂　2004.12.09)


実は、こちらの犬かごイラストは、当サイトにある頂きものキリリク小説
『濃染月（こぞめつき）』byヨモギ様作　の一場面かと見まごうほどの
既視感に襲われた作品なんです。
そちらも、また素敵なんですよ♪

そんなわけで、ある程度、設定が被っている事を承知で、

SSを書かせて頂いております。
こちらにアップするに当って、
ヨモギさんにメールにて、事前報告申し上げ、掲載許可を頂いております。
　　（なんでしたら、オエビのスレッド【53】（【50】のコメント専用スレッド）に、
　　　ヨモギさんによる書き込みが（暫くは）ございます。
　　　ご確認ください。ちなみに、こちらのイラストは【49】です。）

↑上記作品と、共通する（以下に挙げた）３つの基本設定で書かせて頂きました。
　　・朔の夜。
　　・犬かご（山の中で）二人きりになる。
　　・犬一行以外の誰かと遭遇する。


こちらのページのＳＳは、
あくまで、このイラストに対して書かせていただいた作品です。
う〜〜〜ん、夜盗にでもしたら長くなると思いますし、
物分りの良いおっちゃんにしたのが間違いでした。
マジで、名乗りを上げあって終わりですわ〜。(苦笑）

あはｖ
”蜂須賀 正勝”って、ちょいとマイナーな秀吉の家臣だったりします。＾＾
彼なら、かごちゃんにも分らんだろうに♪
もう少し有名な通り名は、”蜂須賀小六（ころく）”こっちなら分かるかな?
分かんない?
それなら、かごちゃんにも分からんだろうに♪
甘くも、手負いにもならなかった中途半端なラストですみません。m(__)m


※著作権につきまして、
こちらにアップするに当りまして、あゆか様のテキストコメントの転載許諾、
および、あゆか様・ヨモギ様に感想ＳＳ付記の許諾を受けております。

以下は、ヨモギさんからの許諾メール文です。 ………………………………………………………………………………………
　　オエビの件ありがとうございます。先程お邪魔してきました。
　　ログをかなり過去まで遡ってみてしまいました。
　　ＩｋｕさんのＳＳも大変楽しく拝見させていただきました。
　　緊迫感や愛が伝わってきて、短いからこその凝縮された魅力を感じました。
　　著作権については全然気にしないでください
　　（放棄するつもりは無いのですがイマイチ仕組みというか
　　　境界線を理解していないもので）。
　　ＨＰ見ているとＩｋｕさんは随分苦労なされたのですね。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　メール（2004.11.29)より抜粋。
………………………………………………………………………………………

いや、別に苦労はしてないんですけど、「転ばぬ先の杖」と言うことで･･･。(^^ゞ
ポリシーです。