〜〜イラスト『2004聖夜』 〜イメージSS『聖夜〜We wish …〜』〜  





  『 聖夜 〜 We wish ・・・ 〜 』



    遥かなる
    時の流れの果てにもたらされた 奇蹟の贈り物。

     願わくば、この奇蹟が永遠に。

     それが、俺の 切なる願い。
     それが、私の 切なる想い。

     We wish ・・・
     I  want  to  be  much  together  with  you forever.












「かごめの奴、いつになったら、帰って来るんだ!」

白銀と緋色とに彩られた少年は、寂しいとつぶやく代わりに毒づいた。
いつまでたっても戻らぬ少女を追って、戦国の世から井戸に飛び込んだ。

かたん。
境内に人気がないことを確認すると、井戸を祀る社の引き戸を引く。
小高い丘の上に建つ神社の寝殿の脇を抜けると、いつもの如く、少年は目指す少女の部屋の窓を開ける。
そこにはお目当ての少女の姿はなく、彼にとって、この上もない甘い匂いだけが立ち込める。

「かごめ ・・・?」





階下に下りると、少女の母が少年に声を掛ける。

「あらっ、犬夜叉君、来てたのね。
 かごめは今、そちらに持って行く荷物の買物に行ってるのよ。
 もうじき戻るから、少し待っててあげてね」


「ああっ」
少年は、少女に良く似た柔らかい微笑をくれるこの人に逆らえない。
この人にお願いされると、素直な言葉が自分でも知らないうちに零れ出す。

この優しい空気。
この暖かい眼差し。
時を隔てた己にまで広がる慈愛の光。

その眩しさに、
その懐かしさに、
・・・・・・ 心が痛む。













「ただいま♪」


待ち人来(きた)る。









「あら、犬夜叉、来てたの?」
「来てちゃ、悪いのかよ!」
少年は久しぶりに少女の笑顔に出合った嬉しさに、つい、憎まれ口を利いている自分自身に腹を立てる。

「ううん。とっても嬉しい」
少女の柔らかい笑顔に思わず見惚れる。


少女は少年に優しい声音で願いを語る。
「ただ、できれば向こうに帰るのは、明日の朝。
 夜が明けてからでも、いいかな?
 今夜は、クリスマス・イブだから ・・・」

「くりすます・いぶ?」
「こっちの世界の特別な夜なの」
「特別?」
「そう」






何が特別なのか、少年には分からない。
いつもと同じ、奇天烈な夕餉。
”ちきん”とか、”けえき”とか、果ては、”つりい”と呼ばれる煌びやかな飾りを付けた小さなモミの木とか。
それが特別といわれても、少年にとってはこちらの世界の全てが奇天烈なのである。





特別だという夕餉の後、少女が少年を戸外に誘う。





「かごめ!寒いだろ。
 何で、うちの中に居ねえんだ」
「犬夜叉、
 この星空を、この夜景を、あんたと一緒に見たかったの」
小高い丘の上に位置する境内より、眼下に広がる光の海。
澄んだ冬の大気の中、頭上に広がる星の海。
「あんたと一緒に見たかったの」

少年は、少女を腕の中に抱かえ込む。
嬉しさと、切なさと、照れくささが同居する。

「犬夜叉。
 これ、あんたにプレゼント」
「ぷれぜんとう?」
「そう、あんたへの贈り物よ」
「お、俺に?」
「うん。あなたに」
少女の手の中にあるのは、少年の緋色の衣のようなリボンで、少女の萌葱色の着物を覆ったような小さな小箱。

「はい」
「おうっ」
少女に差し出された贈り物を手に収めてじっと眺める。




少女は怒るかもしれないけれど、
それが何かなんて、少年にはどうでも良かった。







少女のぬくもりが嬉しくて、
少女の甘い匂いが嬉しくて、
少女が腕の中に居るのが、ただただ嬉しくて。



少年は瞳を閉じて、その幸せに酔いしれる。



「俺さ、もう貰ってるぜ。
 ・・・ おまえの温もりを」
思わず、指に力が篭もる。


「うん。
 私も犬夜叉から、貰ってるわね 」






    遥かなる
    時の流れの果てにもたらされた 奇蹟の贈り物。

     願わくば、この奇蹟が永遠に。

     それが、俺の 切なる願い。
     それが、私の 切なる想い。

     We wish ・・・

      I  want  to  be  much  together  with  you forever.




それは、聖なる夜の物語。




ー Fin −



**************************************************************************
(初書き2004.12.22/改訂2005.12.06)
結局、あのプレゼントは何だったのかしら?
う〜〜む。(゚-゚)
"かごちゃんを好きにしていい券"だったら、犬君どうい顔するのかな?
いやいや、姫さんの犬君に限っては、今更とか・・・。(←蹴)
案外、ペンダント辺りかな?
もしかして、お薬だったりして。(^_^;A
色気がないなあ。
クリスマスイラスト「2004聖夜」より





【Iku-Text】

* Thanks dog friends ! *

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送