『殺生丸〜兄様秋仕様v〜』 〜イメージSS 『恵みの季節』〜  






  『 恵みの季節 』



半月ほど前のあの暑かった日々は、一体何処に行ってしまったのだろうか。

ふと見上げれば、空は高く、大気はどこまでも青く、深く、澄み渡っている。
頭上に広がるのは真夏のあの湧き上がるような雲ではなく、
”蒼” を背景に、軽やかに踊ると表現するのがぴったりな、いくつも浮ぶ細い白雲。
浮ぶというよりは、 ”筆で刷かれた” と言った方が良いのかもしれない。

夏の強い日ざしを受けて草むらから立ちのぼった、あのむっとするほど濃厚な
青臭いほどの草いきれの季節は過ぎ去り、何処からか、甘い果実の匂いに包まれて、
『恵みの季節』 がやって来たと告げている。
赤や黄色、色付いた季節、目にも鮮やかな季節、実りの季節の到来である。


おのれの傍(はた)を通り過ぎる季節など ・・・ 気にも留めはしなかった。
”ヒト” と近くにあるようになり、初めてそれを知覚する。






かつて、父上が私に仰られた。

「おまえに守るべきものはあるか?」
「・・・・・・」








未だ、言葉として答える事など ・・・・・・ できはしない。









しかし、いつの頃からだろう。

 春の萌葱が目に映り、
 夏の日差しに、濃い緑陰に、水しぶきに、 ・・・・・・ 季節を、命の眩しさ感じた。
 秋 ・・・・・・ ”恵み” という 『言葉』 が我(われ)を支配する。
 冬。冷たい大気に、雪に、口から零れる白い吐息に、
 ・・・・・・ きっと、命の熱を、儚さを痛感するのだろう。








おまえも萌える命に魅入られたのか。
儚くも強い命の炎の煌きに魅入られたのか。







”ヒト” とは不思議な存在だな。
弱き体に、儚い命。
そして、強く輝く生命の息吹。




今、私の中で 「時」 が動き出す。
おまえの中にある ”ヒト” の血潮にも、今は光を感じる。





せめて時の移ろいを、
   我が身で、我が心で、 ・・・・・・ 感じてみたい。











甘い香りが立ち込める。


弱き体に、儚い命。
そして、強く輝く生命の息吹。





今、実りの季節。
私の中で 「時」 が動き始める。

   命の煌めきを、我が身で、我が心で、 ・・・・・・ 感じてみたい。





− 了 −





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(初書き2004.09.13/改訂2005.11.06)
何やら、アンニュイな兄様です。
ハナコさんv素敵な兄様をありがとうございましたvvv
喜んで、連れ込ませて頂きましたわ〜♪ ^m^
兄様にとって「ヒト」って、りんちゃんであり、犬君なんだろうな・・・。

『殺生丸〜兄様秋仕様v〜』 ハナコ様





【Iku-Text】

* Thanks dog friends ! *

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