〜 『 弥勒〜とりっく or とりいと〜』イラスト〜イメージSS『どちらが宜しいです?』〜
『 どちらが宜しいです? 』 「よいしょっと」 いつもの井戸をくぐり抜け、空を仰ぎ見上げると、 既に日は西に傾き、もうそこまで夕闇が迫ってきている。 いつにも増しての大荷物。 リュックにはお菓子に、ケーキに、一体何に使うものなのか、 疑問符”が友達と言いたくなりそうな品、品、品。 「遅えぞ! おめえ、いっつも持ってくる荷物は多えが ・・・・・・、 今日のこれはまた ・・・・・・ 凄えな」 「ふふふ。たまには楽しまなくっちゃね♪」 「どういう意味でぃ?」 「今は内緒♪ 後でねv」 楓の小屋で早速荷物を紐解く。 「かごめ、これは何じゃ?」 「これはね、あっちの世界のお祭りの小道具よ。 七宝ちゃん、これどう? 犬夜叉には、コレ。 珊瑚ちゃんには、私のワンピv 弥勒様には、コレなんかいいんじゃないかな?」 「おい、この風呂敷のような布で、どうしろと言いたい!」 「真っ黒な”マント”と言ってよね♪ あんたにはドラキュラがピッタリだわ。肩から羽織って、胸元で紐結んでね」 「どらきら?」 「外国の妖怪みたいなものよ♪」 「珊瑚ちゃんには私のドレスv 髪を下ろしてこのリボンで ・・・・・・ いや〜ん、可愛い♪」 「七宝ちゃんにはこの着ぐるみ! わ〜〜ん、想ったとおり似合いそうだわvvv」 「弥勒様にはこの帽子ね。魔法使いの帽子なの」 「・・・・・・。 かごめ様。そもそもこれは、いったい何なんですか?」 先程までの興奮が収まり、かごめがにっこり笑って説明を始める。 これは、『ハロウィン』と呼ばれる、向こうの世界でも大陸伝来のお祭りなのだと。 (もっともすぐ西の国でなく、もっと遥かに西方の国だけれども) 神無月の晦日に、仮装 ・・・・・・ ここでは傾き者(仮装)の扮装をして、家々を回って、 呪文、言霊(ことだま)と言ったらいいのかな? 「Trick or treat !」 ・・・・・・ 悪戯がいい?それともいいモノ(お菓子)くれる? っていう楽しみもあるお祝い。 本当は、とある宗教の大切な祝日行事の前夜祭なのだけれど、 まあ、実際には子供も大人も夢を楽しむ外国のお祭りなのだと。 そこで、そういう仮装をして村の子供達にお菓子を配るのもいいんじゃないかと 思ったのだと、そのいきさつをかごめが話す。 「秋の恵みのおすそ分けよ♪ と言っても、キャンディー(飴)くらいしかないけどね。 どうかしら?」 「けっ!俺にやれって言うのかよ、それを!」 「そうよ。素敵なドラキュラを頼むわね。狼男の方が良かった?」 「ば、ば、馬鹿野郎! 狼よか『どらくら』の方が良いに決まってるだろうが!」 「ふふっ、決まりね♪」 「弥勒様は魔法使いね。 呪術使いみたいなものだから、ぴったりでしょ?」 そして、 少女ふたりは、ふんわりと艶(あで)やかに咲き誇る【花】へと変身する。 見惚れるドラキュラ。 釘付けの魔法使い。 可愛い黒猫も目を輝かす。 「ええと、言霊(ことだま)は何でしたっけ? 『とりっく おわ とりいと』でしたよね。 『お触り(いたずら)と口付け(いいもの)どちらが宜しいです?』 でしたよね?」 「・・・・・・ 弥勒様! それって、確信犯的な台詞だわ!」 「法師様のすけべぇ!」 「けっ、馬鹿でぃ」 「あほじゃ! こういう大人にはなりとうはないわい」 「ふふふ、楽しそうじゃの。 さあ、村の皆にもおすそ分けしておいで」 満月の月明りの下、 どうにも奇妙な一行が夢を届けに家々を回る。 甘い夢、楽しい夢、笑いとさざめきが方々より聞こえ来る。 − FIN − ************************************************************************** ( 初書き2004.10.27/改訂2005.10.13) アフポン@ さん、どうもすみません。(^^ゞ うちに連れ込まれると、この手のどうにもならない駄文感想SSが付いてきます。 平に、平に、お許しを!!! しかし、法師様の妙ににやけたような表情が気に入りました。 しかし、犬と法師が鼻の下を伸ばしたお嬢さんたちのドレスはどんなのだったのでしょうか?( ̄∇ ̄) イラスト「 弥勒〜とりっく or とりいと〜」より |
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