〜イラスト『殺生丸〜月輪王〜』 イメージSS『月下の慈悲』〜
『 月下の慈悲 』 金色(こんじき)の光を湛えし月輪。 昼日中は、暑き熱射に晒されし大地も、 月が、頭上高く上りし夜半には、少しばかりの冷気を帯びる。 地からのぼる熱気も、 かすかにそよ吹く風によって、幾分か静まり返る。 【妖怪】どもは、その妖気、その殺気に恐れをなし、 近づく物さえない。 おろかなるは【人】。 そこにある”モノ”の力(ちから)読み取れず、 己(おの)が力を過信する。 憐れなるヒトよ。 おまえが対峙する【モノ】が分からぬか。 哀れなるヒトよ。 私に”情”など、ないというに。 いまだ気付かぬ己の”慈悲”に、嘆息(たんそく)する。 かつて、”慈悲”に遠い頃、 一顧だにせず、切り捨てた。 いまだ、己を知らずある【モノ】ゆえに、嘆息が零れる。 自覚など要らぬだろう。 唯、そこにあるだけでいい。 夜半の風に吹かれ、金色の月輪の如きその姿。 巡り会ったが、月輪王である幸せ。 煌く光にも似た、夢との遭遇。 明朝、日輪の加護の下(もと)、おまえのその幸せをかみしめよ。 ー 了 ー ************************************************************************** (初書き2004.08.21/改訂2006.08.04) かっこいい殺生丸様のイラストを前に、シリアスなSS書こうと思ったのです。 それなのに、・・・否に、抹香くさいくなってしまいました。(T_T) それでも、おポエムの元となったイラストをお描きになられた友里さんに貰って頂けました。 嬉しかったです。^^ せっかく、せっかく、夏仕様ゆえ、前が肌蹴ていらっしゃるのに!(←蹴る) 兄上って、私の中では2年以上前から大きく変わりません。 今回、作文ページ収録するに当たって、インデント及び行間に少し修正を入れました。 イラスト「殺生丸〜月輪王〜」より |
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