〜 「肉体改造犬;」より〜イメージSS 〜 『鍛錬(たんれん)』 





  『鍛錬(たんれん)』





かごめの帰りが待ちきれず、井戸に飛び込んで来たものの、
出迎えてくれたのは、かごめのじじいだった。

今は、落ち葉の季節も終わり、北風が吹く。
どんよりとした冬空の下、境内の掃除を手伝わされた。
頭を被う ”いつもの” 手ぬぐいを脱ぎ、襷(たすき)の紐を解く。
その後、どうにも、このじじいには逆らえず、
一緒に煎餅をかじりつつ、茶を啜っていた時の話。






「ずず〜〜〜っ。はあ〜〜っ」
「ふう〜〜っ、ふう〜〜っ、ずびっ、うぎゃっ」

(よく、こんな熱い茶が飲めるもんだ)
と、心で毒付きつつも、冷ましながら舐めてみる。


「おいっ、犬夜叉。
 おまえ、(いつもきっちり着込んでおって見えんが、)
 ちゃんと身体は鍛えておるのか ? 」

「はあっ ?
 どういう意味でぃ。
 特別、鍛えちゃいねえよ。
 用は、その時、その時の、(気力の)問題だろ ?
 いざとなったら、(まみえた敵との)その時の気力勝負だろ ?
 今更、少しばかり体鍛えたって、どうなるわけじゃねえだろが」

「は〜〜っ、少しばかり身が軽いとはいえ、
 こんな精進の足らん奴に、可愛い孫を任せておるのか ・・・・・・」



またもや、じじいは俺を眺めて、溜息を付く。
以前、とんでもない誤解をしていたじじい
多分、今はあの誤解も解けているとは思うが、
色々な意味で、このじじいはあぶねえ。
今回こそは、誤解を招く前に真実を伝えてやる。
「いやな、ここに秘伝書があってな。
 日々の鍛錬によって、肉体も技も改造した男の話じゃ。

 『先日(せんにち)の稽古を【鍛(たん)】とし、
  万日(まんにち)の稽古を【錬(れん)】とす。
  能々(よくよく)吟味有るべきもの也(なり)。
  能々(よくよく)鍛錬すべし』

(を心に抱いて、3ヶ月・・・・・・) 立派な志を勝ち得た男の話じゃ!
おまえも見習ってみろ」
 



その眼光の鋭さと真摯さとが心に響く。

今更、犬夜叉は体を鍛える必要など感じはしない。
己に流れる血によって、既に堅固な身体は備わっている。

望むらくは、朔の一夜(ひとよ)。
力が消える刹那の時間(とき)。
せめて、剣士として、あいつを守り抜きたいと思う。
剣に想いを込めて、鍛を錬とす。
その真摯さは、彼の求めるところでもある。



「ああ、できる限りやってみるぜ。
 俺も、朔の夜はまだまだだからな」




孫娘を預ける老人の脳裏に浮かぶ 彼の姿は赤銅に輝く。
胸板は厚く、筋肉は照り映える。
肉体を改造し、爽やかな笑みを浮かべる眼前の少年を夢想する。

「おまえ、頑張れよ ・・・・・・」

「おうっ ! 」



心に目指す”姿”は異なれど、鍛錬の真理は異ならず。










老人が手にする指南絵巻は、「女性セブン」
またも、神社の忘れ物。
特集「肉体改造!ヨン様vvv」号














冬空に、それぞれの明日を夢見る、男が二人。
時折、北風だけが吹き抜けていく。





ー 了 −


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(初書き2004.12.26/改訂2004.12.27)
うちのサイトには、寝ぼけた”じいちゃん”が棲んでます。
以前にも、朔変化犬君をゴルゴ13だと思い込むような過去を持つ、
じいちゃんだったり致します。
じいちゃんシリーズ第3弾!だったりします。><

ゆびさん、お茶目な犬君をありがとうございました〜〜(^o^)丿
イラスト「肉体改造犬;」より





【Iku-Text】

* Thanks dog friends ! *

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