〜イラスト『いいもの・・・あげるv』 イメージSS『正直者』〜
『 正直者 』 「おい、さっさと寄越しな。俺は忙しいんだ」 そう言うと、犬夜叉は私に向ってずいっと手を差し出した。 「おいっ!とっとと出しな!」 何やら、犬夜叉には余裕がない。 私は思わず、犬夜叉の顔をじっと見つめてしまった。 頭にぴょこんと生えた犬の耳がぴくぴくせわしげに動く。 その白い産毛で覆われた耳の先っぽが、ほんの少しピンクに色づく。 そして、ぶすっとした顔をして口をへの字曲げているくせして、 妙に頬を朱に染めている。 ずいっと突き出した右手は、微動だもしないくせして、 反対側の左手は長い髪をかき分けるというより、頭をかしかしと掻いている。 それから、普段は両の足をしっかりと大地につけているのに、 今日は右の足先を左の脛(すね)にこしこしとこすりつけている。 そして何より、・・・私に真っ直ぐに目を合わせられない。 どうやら、犬夜叉は照れているらしい。 ほんと、犬夜叉って、正直だよね。 あれでも、何やら一大決心をして切り出した台詞らしい。 可愛いじゃない。 おもむろに、ゆっくりと言葉を選んで言葉を返す。 「犬夜叉、私は別に何もあんたに渡さなきゃ”いけないもの”ってないわよ。あんたの勘違いじゃない?」 「えっ?」 予想外の返答と思ったのか、犬夜叉は目を大きく見開いて、初めて私の目を真っ直ぐに見つめる。 「ないわよ。別に」 私はその目が見ていられなくなって、瞳を閉じてこう切り返す。 「おいっ! ないって、本当にないのか?」 薄目を開けて覗いてみると、犬夜叉のぴんと立った耳がへなりと倒れ込むのが目に入る。 「そうよっ。渡さなきゃ”いけないもの”なんてね」 再び、私は瞳を閉じてこう切り返す。 「・・・・・・」 犬夜叉の返す言葉がなくなる。 犬夜叉が一大決心をしておねだりをしたものを、私はそれは勘違いだと返した。 後は、どう切り返したものかと、彼も困っているらしい。 私はそんな犬夜叉が可愛くて、助け舟を出してみる。 渡さなきゃ”いけないもの”はないけれど、_渡し”たいもの”は持っているから。 「犬夜叉、あんた、どうしてそう思ったのよ」 駆け引きなどできぬ犬夜叉は、素直にそして不器用にこれまでの顛末を語り出す。 「草太が言いやがるんだよ、おまえが俺に何かくれるって」 「別に、あんたに渡さなきゃ”いけないもの”なんてないわよ。特に無理してまで貰ってもらうものはね」 「おまえ、さっきからなんか怒ってるしさ」 「そりゃあ、大声で『寄越せ!』とか言うデリカシーのない人にはね」 「・・・・・・」 どうやら犬夜叉も自分の不器用さに起因する「非」は分かっているらしい。 「あのさ、さっきからおまえが後ろに隠してるものは、何なんだ?」 「別に何でもないわ。無理にあんたに貰ってもらわなくても、けっこうだし」 「くれ! 何だか知んねえけど、おまえがくれるものなら欲しい。 おめえがくれるものなら、・・・・・・俺は 笑顔 だけでも欲しい」 まっすぐに上目遣いで見つめる眼差し。 すがるように絡みつく視線。 何より 聞いている方が顔が赤くなりそうな台詞を、 顔を赤くして真顔で自覚もなく言うあんたを見ているのが、何より恥ずかしい。 「もう、そんな顔しないでよ。ずるい!」 「まだ、怒ってるのか?」 おずおずと聞く犬夜叉に、私が勝てる訳なんてない。 「本当は犬夜叉に貰って欲しくて作ったの」 「・・・・・・ほんとか?」 「決まってるじゃない。はい」 そう言って、これでもかと想いを詰めた小箱を満面の笑みと一緒に手渡す。 この恋に勝負なんてできはしない。 だって、私は最初から犬夜叉に白旗を上げているんだもの。 あんたが好き。 きっと・・・、 あんたが私を好きだと思ってくれるその何倍も私はあんたが好きなの。 「・・・・・・ところで、これって本当に食い物か? 何だかすんげぇ色してるけど食って大丈夫なのか?」 そして、私は愛を込めて、おもむろに呟いた。 「そうよ、犬夜叉。・・・・・・おすわり」 ー 了 ー ************************************************************* (初書き2005.02.08/改訂2005.02.20) 「目は口ほどにモノを言う」と、よく言いますが犬君の場合は、「耳は口や目以上にモノを言う・・・」ですか? 犬君、正直なことは美徳なんですけど・・・。( ̄∇ ̄) バレンタインが何だか、結局全く理解していないようですな。 ぷぷぷっ ^m^ 中TOPにあった「正直者」ショートVr.と設定が違ってたり・・・するのは、何故?。(あはは) イラスト「いいもの・・・あげるv」より |
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