〜 イラスト『藤袴』 〜イメージSS『躇い(ためらい)』〜  





  『 躊躇い(ためらい) 』






「秋の日暮れは釣べ落とし ・・・・・・」



そんな言葉が心に浮かぶ。
西の空が茜に染まって、世界はあっという間に色彩を失っていく。
肌寒さを連れた秋風が、私の頬を”さわり”と撫ぜて吹き抜けていく。
秋の花園にひとり佇んでいると、
可憐な花に心浮き立つというよりは、・・・・・・ 切なさ、寂しさに心が騒ぐ。





   あなたが好き。
   あなたが大好き。



私の心は ”想い” で溢れている。
それは、・・・・・・ 違(たが)えようもない 『真実







でも、
それでも、・・・・・・ 一歩踏み出す勇気のなさに涙が溢れる。




















「おまえ、何を泣いてるんだ ? 」


















いつのまにか、貴方がそばにいる。
私が欲しいぬくもりを、あの日のようにくれる貴方。
そんな貴方が私は愛しい。






「うん、ちょっと、考え事をね。
物思う 『』 っていうでしょ ? 」


はらはら零れる涙をぬぐって、貴方の瞳から視線を外す。

貴方の眼差しが今は辛い。
秋の夕闇が、私の心をさらけ出す。

私の想いと私の躊躇い。
どちらも私の奥にある『真実』





     そう、今はまだ、 ”答” なんて出せない。
     いつかは出さねばならないその ”答” 









「おまえの涙なんか見たくない」


あなたの瞳が戸惑いに揺れている。
秋の花が揺れるその原で、あなたの腕に抱かれて、
あの日と、今と、いつかを想う。







「うん、心配しないでね。
ちょっとだけ秋の切なさに酔っただけだから」



そして、
躊躇う心を貴方に隠して、私はふうわりと微笑む。










     いつかは出さねばならない、その ”答”
     今はまだ、・・・・・・ その ”答” を出せはしない。



いつか巡り来る その ”” に、私をどんな ”答” を見い出すのだろうか。





今はただ、
貴方のぬくもりに抱かれて、心に溢れる涙に身をゆだねる。








   はらはらはら、
   はらはらはら。
   止めどなく溢れ出ずる ・・・・・・ この涙。




今は、御免ね。

あの秋の花が ・・・・・・、
 紫のあの花が ・・・・・・、私に涙を零れさす。

ただ今は、
心にあふれ来る想いに浸っていたい。

















肌寒さを連れた秋風が、また、私の頬を”さわり”と一撫ぜしていく。








      あなたが好き。
      あなたが大好き。


   それは、・・・・・・ 違(たが)えようもない ただ一つの 『真実







ー 了 ー




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(初書き2004.10.06/改訂2004.10.19)
秋の七草「藤袴」に寄せて・・・
花言葉 : 躊躇・あの日の思い出
TOP掲載時は、中途に長くてPOPの動作にいらいら致しましたので、
無理に短くするのは止めました。(^_^;)
そう、今回、開き直って思てっいたとおりに追記いたしました。
しっかしなあ〜・・・、根暗いぞ!かごめちゃん。
イラスト「藤袴」より





【Iku-Text】

* Thanks dog friends ! *

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